クスリと生活習慣


 Eさん(70代女性)は高血圧治療と、高脂血症、骨粗しょう症治療などで通院しています。今日はかぜをひいたため、臨時薬としてアセトアミノフェン錠剤 のみが処方されました。「私がいつも飲んでいるB錠も熱や痛みの薬だから、今日の薬を飲む時はB錠は飲まないほうがいいわね。」と言いました。アスピリン 製剤のB錠はOTCでは知名度No1の解熱鎮痛剤ですが、医療用の81mg錠は、血栓予防薬です。熱が出たときは沢山飲めば一挙両得かと言えばそうではな く、解熱用の用量660mg飲めば熱には効いても血栓予防作用は減弱します。B錠81mgの血栓予防効果を減弱させずに熱や痛みに効く薬としてアセトアミ ノフェン錠剤が処方されたのですが、B錠は解熱鎮痛剤という印象があまりに強くてすっかり勘違いしていたようです。「いつものB錠は血栓予防の大事な薬な ので、続けてください。熱が出た時や喉が痛いときは、さらに今日の薬を服用してください。」と説明しました。
 このような勘違いは世の中多々あるようで、血栓予防薬のつもりでOTCのB錠を飲む人、医療用と同じ成分だと思ってOTCの小児用B錠を飲む人などがい るそうです。OTC小児用B錠はアスピリンではなく、アセトアミノフェン製剤なので、血栓予防薬にはなりません。名称が似ていてもOTCは医療用の代用に なるわけではありません。
(SI-T)