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詳しくてわかりやすい保湿のお話

詳しくてわかりやすい保湿のお話

お肌には保湿が必要と言うけれど、どうして保湿が必要なのでしょうか?
そして、保湿するにはどんな方法があるのでしょうか?
保湿剤は何をポイントにして選べば良いのでしょうか?
ミキ薬局のカウンターでスキンケア初心者のミキちゃんが、スキンケアマイスターのルーチェさんとお話ししていますよ。
ちょっと会話を覗いてみましょう。

ミキちゃん:私小さい頃から肌が弱くて、すぐにかぶれたりするんです。トラブルの無いお肌に憧れています!どうやったらなれますか?

ルーチェさん:ミキちゃんはお肌が敏感なんですね。少しの刺激にも負けないバリア機能の整った健康なお肌、憧れますよね。実はちょっとしたことの積み重ねが健やかなお肌を作るんですよ。その方法を説明する前に、まずはお肌の働きから説明しましょうね。(図1)

ミ:よろしくお願いします!

ル:お肌は私たちの全身を覆っていて、外敵が体内に侵入するのを防いだり、体の重要な成分が外へ漏れ出さないよう食い止める働きをしています。ですがバリア機能が崩れてしまったお肌からは外敵が入り込んでしまうこともあります。例えば怪我をして傷ができた時、適切な対処をしないとそこからばい菌が入って腫れたり膿んだり、発熱など全身に症状が起こることもあります。

ミ:へえ、肌トラブルから全身に影響が及ぶこともあるんですね、怖いですね。

ル:そうなんです。このお肌の断面図を見てください、これはバリア機能が低下した肌を表しています。(図2)

図1:健やかな肌断面図

図1:健やかな肌断面図

図2:バリア機能が低下した肌断面図

図2:バリア機能が低下した肌断面図

ミ:刺激が奥まで入り込んでいますね。

ル:そうですね、そして、お肌の内側にある水分が外へと逃げているのが分かりますね。実は水分が十分にあるお肌は弾力があって柔らかいので多少の衝撃であれば跳ね返してくれます。でもバリア機能が低下していると、水分も少なくなってしまって硬いお肌になるばかりか、外から刺激が体に入り込みやすくなってしまって、かぶれや肌あれ等の肌トラブルを起こしやすくなるんです。

ミ:水分が十分に保たれていれば、刺激に強いお肌になれるということでしょうか。でもどうやって・・・?

ル:お肌は横から見ると層のように細胞が重なっています。その一番外側には角質層と呼ばれる細胞の層があります。規則正しくレンガのように積み重なっていますね。内からの水分も外からの刺激も通さないためにはこのレンガのような角質層の充実がとても大切です。

ミ:確かに、この図では刺激も水も角質層を通りぬけていますよね。通りぬけられないように角質層を丈夫にすればいいのでしょうか。

ル:ミキちゃん、いいところに目を付けましたね!

角質層の3要素

角質層にはバリア機能に関係する3つの要素があり、これが揃っていることが大切です。3要素とはいったいどんなものでしょうか?

①天然保湿因子

角質層の細胞の中にあります。水分と手をつなぎ、潤いを保つ働きがありますので、天然保湿因子が充分にあると水分で満たされたハリのある細胞になります。角質層の細胞はレンガに例えられますが、しっかりとしたレンガは建物を支える為欠かせない要素ですね。

②細胞間脂質

細胞をレンガに例えると間のモルタルが細胞間脂質です。細胞と細胞の間を埋める部分がぎっしりと隙間なく詰まっていると水分や刺激を通しにくい肌になります。

③皮脂膜

角質層をラップのように覆っている薄い膜で、汗と皮脂(油)が混ざってできています。皮脂膜が十分にあると水分が蒸発しにくく刺激も通しにくい肌になります。

ミ:少し言葉が難しいですが、つまり・・・天然保湿…因子、細胞間脂質、皮脂膜・・・この3つが揃うと丈夫な角質層が作れるということですか?

ル:その通りです!この3つの要素を三大保湿因子と呼んでいて、これが揃うと刺激も通さない、水分も蒸発させない、トラブル知らずのお肌になれるんですよ。

ミ:ルーチェさん、私3つとも欲しいです!三大保湿因子はどこから来るのですか?

ル:それを説明するために、まずお肌の生まれ変わりのお話をしましょう。
角質層の細胞は、その少し下にある層(基底層と言います)で生まれています。基底層では血管から送られてくる栄養分を力にして絶えず新しい細胞が生み出されています。(図3)

図3:ターンオーバーと角質層の3要素

図3:ターンオーバーと角質層の3要素

ミ:へえ、基底層って肌細胞の工場みたいなところなんですね。

ル:そうなんです、次々に生み出されていますので、基底層で生まれた細胞はだんだん形を変えながら押し上げられていきます。最終的に角質層までたどり着いて、垢となって剥がれてしまいます。

ミ:肌細胞の長い旅ですね。

ル:はい、人により差はありますが、大体4週間から8週間をかけて生まれ変わります。三大保湿因子も、角質層でいきなり発生するのではなくて、細胞が生まれた時からその素があって、細胞の変化とともにその形を変えながら角質層までたどり着き、三大保湿因子としてその働きを発揮するのです。ですから血管からの栄養も関係していますよ。

ミ:なるほど、元気な細胞を作るためには食事からの栄養も大切なんですね。

保湿の方法

三大保湿因子を十分に備えるためには、次の二つの方法があります。

①お肌の内側から栄養を与えて保湿因子がスムーズに作られるようサポートする
②お肌の外側から保湿成分やお肌のサポート成分を補う

①に挙げた内側からのケアをインナーケア、②の外側からのケアをスキンケアと呼んでいます。お肌、それも一番外側にある角質層は心臓や胃などの内臓と違って、自分の目で見て直接状態を確認できますし、触れてケアできます。これは大きなポイントです。ですから内からだけでなく外からのケアも取り入れていきましょう。

ル:インナーケアについてはまたの機会に、今日はスキンケアの説明をしますね。三大保湿因子を外からサポートするのがいわゆる「保湿剤」です。乳液タイプとクリームタイプが主流です。

ミ:保湿剤にはどんな種類があるのですか?

保湿剤の種類

スキンケアアイテムは、法律によって医薬品、医薬部外品、化粧品の3種類に分けられます。
それぞれ表のような特徴があります。

種類特徴
医薬品・主に治療を目的とする、使うことで体に影響を及ぼす
・厚労省の許可した有効成分を一定濃度で配合している
・用法用量を守って使う
医薬部外品(=薬用化粧品)・人体に対する作用が穏やか、医薬品と化粧品の中間
・肌あれ、にきび、日焼けによるシミそばかす予防等を目的とする
・厚労省の許可した有効成分を一定濃度で配合している
化粧品・医薬部外品よりも効能効果が緩和
・清潔、美化、魅力を増す、健やかに保つ等を目的とする

ル:肌トラブルを改善するには医薬品がおすすめですが、トラブル予防に毎日保湿剤を使いたいという場合には、医薬部外品か化粧品を選びましょう。中でも医薬部外品には、厚労省お墨付きの有効成分が一定濃度配合されているため、肌あれ予防効果が期待できます。

ミ:予防のために毎日使うのであれば医薬品でなくても良いのですね。どう使うのですか?

ル:パッケージに書かれた使い方に従っていただくのが基本ですが、目安として洗顔やお風呂の後に、朝と夜の2回保湿剤を塗るのがおすすめの使い方です。量が少なすぎると摩擦が起こってしまいお肌に負担になるので十分量塗ることをおすすめします。

ミ:ありがとうございました。保湿がお肌を健やかにする理由がわかりましたし、内側からと外側からのケアがあることなどとてもよくわかりました。

ル:成分について知っていただくと、保湿剤を選びやすくなると思うので、保湿成分についてまとめておきますね。参考になさってください。

知りたい!保湿成分の本当のところ

化粧品に配合される保湿成分にはどんなものがあるでしょう。

【水分の蒸発を防ぐ保湿成分】

お肌表面に油膜を張るようにして水分の蒸発を防ぎます。スクワラン、ホホバ油、オリーブ油などがあります

【水分を繋ぎとめる保湿成分】

お肌の内部で水分と繋がったり、油分で挟み込んだりして外に出ていかないようにしています。セラミド、アミノ酸、グリセリンなどがあります。

【両方の働きのある保湿成分】

ヘパリン類似物質
医薬部外品の保水有効成分で、お肌で次のようなはたらきをします。
・天然保湿因子の成分を増やす
・隙間だらけになった細胞間脂質を回復させる
・お肌の表面からの水分の蒸発を防ぐ
このようにヘパリン類似物質は、三大保湿因子の全てをサポートするとても優秀な成分です。

お肌にとても良さそう、でも実のところどうなの?

加水分解コラーゲン・水溶性コラーゲン

お肌の奥で土台となりハリを作る成分として有名ですが、とても大きな分子なので、基本的に外から補給しても浸透はしにくいと言えます。コラーゲンをペプチドまで小さく分解すると少し角質層まで浸透することが分かっていますが、コラーゲンによってお肌のハリを高めたい場合には口からサプリメントとして摂取した方が効率が良いでしょう。

ヒアルロン酸ナトリウム

コラーゲンとともにお肌の土台を作る成分ですが、お肌の表面近く、角質層の細胞と細胞の間にもあります。ヒアルロン酸もコラーゲン同様分子が大きくほとんど皮膚には浸透しないので、化粧品に配合した場合、皮膚の表面で膜を作るように水分の蒸発を防ぐ働きをします。グリセリンと一緒に配合されていると保湿効果は高まると言われています。ただし、ゲル状成分で1%より多く配合すると製品が固まってしまうので、高濃度では入れることが出来ません。

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