今回は、１度禁煙外来で禁煙に成功したものの、再喫煙してしまった方の再挑戦についてご紹介します。

・70代　女性　Mさん

・ﾌﾞﾘﾝｸﾏﾝ指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)：12本×8年＝９６

・脳梗塞の既往歴あり

【1回目】1月

薬剤師：タバコの臭いがするようですが、吸われてますか？禁煙にご興味はありますか？

Mさん：わかる？以前、病院でパッチを使って禁煙したのよ。でも体重が増えて、また吸い始めました。タバコも値上がりするから、禁煙したいと思っている。

薬剤師：市販のパッチかガムを使用するのがいいと思いますが、歯の状態はどうですか？

Mさん：入れ歯だからガムはダメね。今回はとりあえずいいわ。

薬剤師：少しずつでも減らしてみましょう。

【2回目】2月

薬剤師：タバコの本数はどうですか？

Mさん：1日20本位吸う時もあったけど、最近急に減って８～10本になりました。できれば禁煙補助剤を使わないで禁煙したい。

薬剤師：1人ではなかなか難しいので、禁煙支援受けてみませんか？ミキ薬局のホームページで禁煙に関してご紹介していますよ。一度ご覧下さい。今回は、「禁煙カード」をお渡ししますので、毎日何本吸ったかチェックして下さい。（「禁煙カード」については第22回をご覧下さい）

【3回目】5月

Mさん：今７、8本。そこから減らない。

薬剤師：入れ歯でガムは使えないので、パッチを使いましょう。最初にパッチの20mgを使います。試しに1週間やってみましょう。

【4回目】5月　電話にて

Mさん：来週から始めようと思っています。

薬剤師：まずタバコ、ライター、灰皿を処分しましょう。吸いたくなったら、飴（シュガーレス）を舐めたり、氷を舐めたり、冷たい水を飲んだりしましょう。入れ歯ですので、歯みがきのかわりにうがいをしましょう。 

Mさん：やってみます。何かあればまた電話します。 

薬剤師：1週間頑張ってみましょう。

【5回目】5月　電話にて

Mさん：昨日から始めました。無意識にタバコを探していることがある。もちろん吸ってないわよ。お煎餅を食べたり、飴はしょっちゅう舐めてます。体重が増える原因よね。

薬剤師：最初の2,3日は辛いかもしれないですが、今日1日、そして1週間と慣れるまで頑張りましょう。体重増加につながるのでお菓子の食べ過ぎに気をつけましょう。

【6回目】5月　電話にて

薬剤師：1週間くらい経ちますがどうですか？

Mさん：吸ってしまいました。朝起きた時に一服だけ。食事の後に吸いたくなる。炭酸飲料を飲んでみました。

薬剤師：かなりの進歩ですね。このまま続けましょう。吸いたくなった時に炭酸飲料を飲むのはいいですね。

Mさん：ドラッグストアで「２０ｍｇから１０ｍｇに替えたらどうか？」と言われましたが、自信がないので前回と同じ２０ｍｇにしました。2週間後に薬局に行きます。あなたに会えるのが楽しみだわ。

薬剤師：もう少し自信が出てきたら１０ｍｇにしましょう。私もお会いするのが楽しみです。

【7回目】6月

Mさん：「１本位いいかなー」って、起きてすぐ吸ってしまう。体重が約１Kg増えた。お昼は外食が多く、食べ過ぎた時の夕食は少なめにしています。

薬剤師：朝起きてからの習慣を変えましょう。起きたらすぐ、顔を洗いうがいをする。そうすればスッキリします。「１本位なら・・・」は禁物です。体重が２，３Kg増えるのは、禁煙にはつきもの。健康な時はご飯が美味しく感じるので、食べ過ぎてしまうのでしょう。外食時は脂っこいものを減らして、体を動かすようにしましょうね。

Mさん：朝の吸殻を持ち歩いているの。

薬剤師：タバコは持ち歩かない。タバコを止められない原因にもなります。

Mさん：１人だから誰も言ってくれないのよね。もう持ち歩きません。

薬剤師：また１週間頑張りましょう。１週間後に電話しますね。

現在、パッチを使用しながら奮闘中。

★★★今回のワンポイント★★★

◇「１本位吸ってもいいかな？」と思う気持ち

禁煙経験のある方は、１度は頭をよぎったことがあるのではないでしょうか？この言葉を断ち切るのは、苦労するかもしれません。それでも諦めないで下さい。「１本吸ってしまったから終わり」ではありません。前向きに１歩ずつ前進していきましょう。第１５回に「吸いたい気持ちをコントロールしよう」がありますので、参考にして下さい。

◇体重のコントロール

禁煙には２、３Kgの増量はつきものです。食べ過ぎたなと思ったら、運動する時間を増やしましょう。野菜を摂りバランスのとれた食生活を心がけることが大切です。

◇禁煙相談

誰かに相談することで、ストレスを軽減することもできます。１人で悩まず、ぜひ私たちに相談をして下さい。

次回は6/22　間違えた使い方をしていませんか？です