喫煙が全身に対して悪影響を及ぼすことは広く知られていますが、口腔領域にも悪影響を及ぼしていることはあまり知られていないようです。今回は、見落としがちな口腔領域、その中の歯周病と喫煙についてお話ししていきたいと思います。

【喫煙は歯周病の原因 】

歯周病（歯槽膿漏）とは、細菌による感染症です。喫煙者は歯周病にかかりやすく、重症化もしやすいと言われています。非喫煙者と比べると２～６倍のリスクで歯周病になります。1日の喫煙本数が増えれば歯周病のリスクも増加します。しかし、禁煙期間が長くなるとともにリスクは低くなっていきます。

原因はタバコに含まれる三大有害物質であるニコチン、一酸化炭素、タールです。

ニコチンや一酸化炭素は、ビタミンCを破壊し、歯周囲の血流の低下と酸素不足を招きます。また、白血球の力も低下させ細菌への抵抗力を弱くさせます。唾液の分泌量が下がることもあり、細菌が繁殖しやすくなるのです。

タールは“ヤニ”として歯の表面にこびりつきます。この部分には、虫歯や歯周病の原因となるプラーク（歯垢）も沈着しやすくなり、発症や進行を助けてしまいます。

【喫煙者は歯周病に気がつきにくい】

喫煙者の歯周病の特徴は、「歯肉の腫れが少ない」「ブラッシング時の出血が少ない」ということ。

これは、ニコチンの血管収縮作用の影響で歯肉への血流が阻害されることで、歯肉が炎症を起こしても出血が抑えられてしまうのです。自覚症状がないために歯周病に気がつきにくく、歯周組織（歯茎と歯を支える骨の部分）の破壊が進んでしまいます。気がついた時には手遅れということです。

歯周病が原因で歯を失う人は40歳代で４０％ほどと言われています。歯肉には歯肉の下の骨が損傷しないように保護する機能があります。歯肉細胞の回復力が低下すると歯の機能がなくなり結果として歯が抜けてしまうのです。

身体だけではなく、健康な歯を維持するためにも、禁煙考えてみませんか？ 

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