たべ新聞

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旬の食べ物 (63) 甘酒

2012.06.12

甘酒

 俳句に用いられる夏の季語に「甘酒」があります。

 甘酒は現代では寒い時期に体を温めるイメージが強いのですが、実際の旬は夏です。 

 甘酒は米麹によるでんぷんの分解により、糖を増やし、甘くする飲み物です。

 米麹菌は暖かい環境でより良く働きます。

 でんぷんが分解されるため、消化吸収が良く 「飲む点滴」 のような飲料です。食欲が無く食事がはかどらない夏の時期、夏バテ予防に適した飲料です。

(なお、ビタミンB群や食物繊維も含みますが、米飯と比較しても、際立って『豊富』という量ではありません)

 また、井戸水以外に夏場に飲食物を冷やす手段がなく、現代より衛生状態が悪かった時代には、生ものや体を冷やすような飲食は命にも関わる場合がありました。

 むしろ、熱い飲食物を摂って汗をかく方法がとられました。

  汗が気化熱によって、体内にこもった熱を奪うため、涼感を得ることが出来ます。

 ほんのひとつまみ、塩を加えると甘味がまし、汗で奪われる体内の塩分を補うことができます。

 しょうがのしぼり汁を加えると、風味がキリリと引き締まります。また、しょうがは漢方・薬膳の考え方では胃腸を温め、その働きを活発にするはたらきがあるとされます。

 胃腸のコンディションを良好にすることで、夏の食欲不振を防ぎ、食中毒や感染性の胃腸炎に対する抵抗力を保持するには好ましい組合せです。

 昔の日本人の知恵は素晴らしいですね。

 

 

 

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