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旬の食べ物(97) 食用菊

2012.08.20

食用菊

 秋に美しさを競う菊の花。露地ものの食用菊は秋が旬です。山形県や秋田県などを中心に生産が行われています(食用を目的に改良された菊は、行事食『重陽の節句』で着せ綿をしたり酒に添えた昔には無論まだ作られていません)。

 

 菊の花弁をがくから外してそのつくりを覗いて見ると、ストローのような筒状になっています。

 これが特有のサクサクとした弾力ある歯触りのもとです。噛むごとにふわりと清々しい香りや甘味が口中に広がります。

  食用菊の黄色や赤紫色の色素は酸に触れると安定し、鮮やかな色をとどめるので、食酢を加えた熱湯でさっと茹でます(これを板状に干したものが「菊のり」です)。

 

 産地では時期になると、たっぷりと小鉢1杯位の分量をお浸しとして食べます。

 

 こうした食べ方をすると、鉄やビタミンB群、カリウムや食物繊維などの菊に含まれる栄養素が量的に摂取できますが、彩りに添える程度ではあまり期待できません。

 けれども旬の食材は、その時期だけの色や風味や食感に触れて食事の楽しみを広げる意義も大きいと思いませんか?

 

 

 茹でた菊は、酢の物やすまし汁のアクセントや、焼魚の添え物にすると、料理がパッと華やぎます。ラップで空気を抜いて小分けに包んで冷凍すると、あまり食感を損わずに保存できます。

 また、輪切りにしたナスの上にこの菊花をのせ、塩と米麹で押し漬けにした漬物はとても美しいものです。中心に置いた輪切りの赤唐辛子がアクセントです。

 なお、花屋で観賞用に購入できる菊は薬剤噴霧などが施されており、苦味も強く、食用には適していません。

 

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